2014年3月13日木曜日

フェアトレードってなに?―①フェアトレードの定義

※3月14日、情報があまり整理されていなかったため分割、編集いたしました。

フェアトレードって何?
①フェアトレードの定義
②フェアトレードの課題(記事を読む)

みなさんこんばんは、昨日は東京はとてもあたたかな一日でした。
梅も満開、さくらもつぼみがふくらみはじめていますね。

●今後のネット選挙のことや(記事を読む)
●「市民災害救助隊」が必要になったわけ(記事を読む)
●自助・共助・公助、市民災害救助マニュアル(記事を読む)
昨日まではこういったことについて書いてきましたが、どれも日常からちょっと離れた出来事、イベントのなかで感じたことです。

では、普段YanoKazuha、私がなにをしているかというと、都内で大学生をしています。専攻は社会学で、最近は古市憲寿さんとか有名ですよね。
社会学というのはこれがとても便利な学問で・・・と話し出すと長くなるので割愛しますが、ざっくり説明すると、ほぼ全ての学問分野や社会現象と関連して、そこでおこっている事柄に名前をつけたり解説するという学問です。たくさんの学問とより多く関われる欲張りのための学問ともいえます。

私の専門は「現代奴隷制」で、社会学と関係あるかといわれると悩ましいのですが他に適当な受け皿がないため、様々な分野の講義に顔をだしています。
昨日、3月12日「NEWS every」という番組で流動児童について取り上げられていましたが(記事を読む)、こういった話も関連しますのでおいおい書いていけたら嬉しいです。


今日はそのなかでも多くの人にとって関わりやすく、生活にとりいれやすい世界規模の共助ともいえる「フェア・トレード、エシカル」について簡単にですが、お話しようと思います。どちらの言葉も聞いたことがあるという方はけっこういらっしゃるかと思います。具体的に商品を思い浮かべることが出来る方、実際に購入されたことのある方もいらっしゃるでしょう。

◇フェアトレード、公正な取引とは?

●フェアトレードの定義、フェア・トレード、またはオルタナティブ・トレードとも呼ばれますが、これは日本語に訳すと公平公正な、適切な価格での貿易・取引という意味になります。
開発途上国と先進国のあいだでの取引において、不当に低い価格での取引によって生産者(労働者)・その組合が不利益をこうむることのないよう、またそのことが原因となり奴隷制や児童労働、自然破壊などの問題につながることを防ぐための取り組みです。

ほんらいであれば、全ての取引がこうあるべき当然の姿であるともいえます。そもそもgive and take(ギブアンドテイク)は公正な取引や貿易を意味していましたが、ネガティブな意味合いが加わってしまい、最近ではwin-win(ウィンーウィン)という言葉もあります。お互いが対等であり互恵関係を保った取引であることを示す言葉はたくさんあります。
しかし、そのなかでもフェアトレードという言葉は「unfairな貿易・取引」に対してそうとうに批判意識を持ってつくられた言葉であるように感じます。たとえば、生産者が生活できないような、労働者に賃金の低い、あるいは賃金が必要でない児童や奴隷をしようしなければならないほどの賃金しか支払われてこなかった取引にたいしての批判意識がうかがえる言葉なのです。
残念ながら、「フェア・トレード」という言葉がうまれ、取り組みが行われているということは現実的にはそうでない取引の存在がある、ということも示しています。

さて、上に太字でフェアトレードの定義らしきものを書きましたが、実はフェアトレードを積極的に行っている団体、企業によっても捉え方や、言葉の示す範囲、姿勢には違いがみられます。

下の画像は2012年に私が立教女学院短期大学・自然科学セミナーに所属していたころの資料になりますが、フェアトレード商品をとりあつかっている民間企業の公開している公式HPから情報をあつめ、まとめたものです。

1,なぜフェアトレード商品を販売するのですか?
2,フェアトレードとは何ですか?
3,認証マークを使用していますか?
という3つの質問をなげかけています。そのなかで2番目の「フェアトレードとは何ですか?」という質問に対する答えをいくつか見てみましょう。

・開発途上国に暮らす生産者から公平な価格で購買、経済的自立を支援する取引(MORIVA COFFEE)
・開発途上国の生産者や労働者と適正な価格で公正に取引をする貿易(KALDY COFFEE FERM)
・誰かの役に立ち、自分にも役立つ。みんなが笑顔で、みんながHAPPY。みんなの笑顔を増やすこと(MINI STOP)
・市場原理に基づく効率化を目指しつつ、労働条件、環境保護について持続的に改善を行っていくためのもの(無印良品)

このように、フェアトレードとひとくちに言っても企業によって様々な考え方、立場の違いがあるのです。つまり、貿易や取引におくルールとしてとらえる、生産者や労働者の自立支援もふくめた「社会貢献」として行う、市場経済全体の改善のための仕組みとしてとらえる、ライフスタイルのひとつとして提案する、などフェアトレードの分類ができると言えるでしょう。


ところで、上記の企業がフェアトレードを取り入れていること、ご存知でしたか?
 
日本ではチョコレートやコーヒーなどが取り上げられることの多いフェアトレード商品ですが、もちろん洋服や雑貨もありますし、カフェやレストランなどもあります。また全国チェーンのレストランのドリンクバーにフェアトレードコーヒーが取り入れられているところもあり、意外に身近な存在になってきているのです。


◇エシカル、倫理的とは?

フェアトレードと似た言葉にはエシカル(倫理的)という言葉もありますので、こちらの定義も書いておきます。

●エシカルの定義
たとえば、熱帯雨林の動植物保護を目指すレインフォレスト・アライアンス活動や、映画「ブラッド・ダイヤモンド」でも取り上げられたコンフリクトフリーダイヤモンド(紛争と関わりのないダイヤモンド)などが例としてあげられます。
エシカルとは、フェアトレードの概念からもう一歩ふみこみ、人にも自然にも優しい物づくり(適正価格取引であること、児童労働がないこと、環境保護や環境再生を目指し、環境破壊がないこと、自立支援や地位向上など)を目的とした産業の導入・取引などをおこなう取り組みのことを指します。

暮らしている地域に産業がない、適性な価格での労働がないために森林伐採をすすめ結果として地域内の森林が破壊されてしまうといった例や、紛争資金を得るために人件費の低い・あるいはまったくかからない児童や奴隷をつかった宝石採掘・研磨をさせて外貨をかせぐといった例が世界各地にあります。

こういったことから無関係であること、誰も傷つけない商品であることを目指す、地域の伝統、技術の継承をする、または自然農法オーガニック商品であるなど、フェアトレードでは補足できなかった社会貢献的な意味をふくんだ、かなり包括的な用語になっています。エシカル・ジュエリー、エシカル・ファッションなどで検索することができます。

◇参考リンク

ZENSHO(全国チェーン店でフェアトレードを展開、公式HP)
MORIVA COFFEE(公式HP)
MINI STOP(ミニ ストップ フェアトレード研究所)
STONE(途上国での持続的な支援や開発について考える場の提供)
Fair Trade Town Japan(一般社団法人フェアトレードタウンジャパン)
レインフォレスト・アライアンス・ジャパン(人と自然の共栄をめざす公式HP)
HASUNA(日本初のエシカル・ジュエリーブランド)
フェアトレード・ラベル・ジャパン(認証ラベル発行団体日本NPO法人)
THE・BODY・SHOP(公式HP「私たちのバリューズ」)
KALDY COFFEE FERM(公式HP KALDYのコーヒー)
AEON TOPVALU(公式HP「トップバリュについて」)
マザーハウス(開発途上国で生産、先進国での販売、公式HP)
PEOPLE TREE(オーガニック、フェアトレードのファッション通信販売、公式HP)

今日も最後までお付き合いくださってありがとうございました。