・ネット×秩父市議選挙をふりかえる①(記事を読む)
・ネット×秩父市議選挙をふりかえる②(記事を読む)
※5月12日追記・修正
前々回、前回と2014.04.20秩父市議選挙で初当選された清野和彦さんの選挙について語っているわけですが、あらためてこの選挙活動がいかに類まれな選挙だったか・・少し納得していただけたでしょうか。
この選挙の特徴をふりかえってみたいと思います。
◆地方都市で若者が出馬・当選するということ
・秩父市の投票率は60%をこえる=浮動票が少ない
東京の、前回区長選挙の投票率が3割だった練馬区在住の私からすれば夢のような投票率ですが、これはそれだけ「誰が誰に投票するか」が決まっている、つまり地盤がかたいということ。
今回の清野さんの場合のように町内会をあげて応援してくれるということが、逆に新人にとっては高い壁となります。
特に清野さんは一度秩父をはなれていますので地元との縁が薄い、と思われたのも「難しい」といわれた原因だったそうです。
・地元との縁は新たにつくれる、取り戻せる
雪害のときの雪かきボランティアや、お母さんの助力もありましたし、同級生のみなさんもいました。清野さんと地元の縁は完全に切れていたわけではなかったのです。これを取り戻せたこと。
さらに星の夢やマルシェといったように、時間はかかりますが新しい縁をつくるということもできます。このおかげで清野さんには秩父に移住してきた人たちや、自然志向など新たなライフスタイルを目指す人々との縁ができました。
その人がどのように生きてきたか、どんな縁をつなげてきたかということが選挙に出るにあたっては重要なことのように感じます。
◆効果的で合理的な旧来型の選挙活動は、やっぱり効果的で合理的。
・人は目にみえるものを見るし、聞こえるものを聞く
町内会での会合、チラシのポスティング、選挙カーでの活動や、(名前を連呼するだけでない)街頭演説、練り歩き、握手・・どれも旧来型の選挙で行われてきた手法ですが、それが続いているのは有効な手段だから。
有権者は普段通りの生活をしているし、忙しい。そこにいかに「選挙」を組み込むか。
毎日おなじ時間に、おなじ場所にいる、直接会える・話せる場をひらくことが重要。
◆ネットは地方都市選挙で有効か
・face to faces それを可能にするのがネット
候補者がどんな人なのか、いつどこにいるのか、いま何をしているのか、それをリアルタイムで即時に知ることができるのはインターネットならではの機能です。
大きな都市の選挙でネットを活用する場合はどれだけ人をたくさん動員できるかが鍵になりますが、地方都市の場合、候補者本人が有名か、有名な人を呼べるのでなければ、あるいは何か大きなイベントに参加する形でなければ多くの人をそのためだけに動員することは難しい。
地方都市にかぎりませんが、情報を補強する、フォローする役割を担う。
地方都市選挙においては、ひとりとひとりの対話を重視し、より確実に情報を届けることが大きな目的になります。直接ではありませんが、ネットもまた顔を合わせての対話だということ。
・「効果的・合理的な選挙」×「楽しい選挙」を最適化するのもネットの役割
人をあつめることや、ポスター掲示板のマッピング、バナーやウェブポスターなどより合理的に、より効果的に作業を管理するのもネットにできることの一つです。
・更新しないのは選挙活動をしていないのとおなじ
選挙期間以外でもアカウントを持ち発信することが望ましいですが、選挙期間中につくったものであっても、スタッフが「スタッフです」といいながら発信するかたちでも、発信し続けることが大事。
浮動票といわれたり、マイルドヤンキーといわれ街頭演説を聞ける時間に地元にいない、それほど積極的に選挙活動に関わらない人にとっては、名前を検索して出てくるものが全て。
ネットの情報を更新しないことは、その人にとって選挙活動をしていないのとおなじなこと。
逆にいえば、そういった層のひとたちへ自分を知ってもらえる良い機会だということです。
◆若者を選挙に巻き込む、楽しい選挙
・楽しそう、面白そう、だから参加する。求めているのは熱中できる、なにか
家入さんや三宅さんの選挙でもそうでしたが、そして私がそうなのですが、いくら候補者の主張が正しくても共感できても、選挙活動に参加するのは「変わり者」という意識があります。
でも常にどこかで「夢中になれるもの」「熱中できるもの」を探しているのは、現代にかぎらず若者の特徴なのではないでしょうか。友だちがやっているから、投票するかはわからないけれど、でも楽しそうだから、楽しかったから、なんとなく、で良いんです。
今回、Twitterで自発的にひろまった地元の中高生たちの動きも、面白そう・楽しそうからはじまったものでした。若者をとりこむには、参加するハードルをできるかぎり低くすること。
・戦力ではなく、仲間・協力者
来てくれる方全員に共通することでもありますが、彼らも有権者であることをわすれない。
おなじ時間を過ごして、一緒に話したり行動をともにして仲間になり、戦力になる。
そもそもはじめて選挙活動に関わる人にとっては知らないことや初めてのことだらけです。
この人を応援しようと決めて事務所にやってくるのではなく、どんな人なのか、どんな活動をしているのか知りたくて参加してくる人も多い。選挙を手伝う「変わり者」という壁をのりこえてやってきた彼らを「ゆるく」迎え入れてあげて欲しいなと思います。
若者は人材として確かに役立つけれど、はじめから戦力としてやってくるわけではない。
・「効果的・合理的選挙」×「楽しい選挙」は若者とよそものがつなぐ。
それぞれ向き・不向きがあるし、特技も違う。それぞれの適正をみきわめた配置をすること。
リーダーをあきらかにしながら、ひとりひとりの負担を減らす。
若者やよそものだからといって彼らの適正と違うことを押し付ければ、それは続かない。
逆に適正にあった配置ができれば、思っている以上の作業を消化することができます。
なにより、若者とよそものに共通しているのは「土地特有の固定観念にしばられていないこと」それが楽しい選挙をうみだすきっかけになるはずです。
人材のマネジメントは必要不可欠な作業、できること・したいことをするのが一番効率的。
◆低予算
・手作りはみんなでできる、連帯感をつくりだす
お金をかけるところ、かけないところをはっきりと示す。
アイディアをいかしながら物をつくることはそのまま選挙活動をつくることでもあります。
絵が得意な人、ウェブ作業が得意な人、ポスティングが得意な人・・・、ひとりひとりの特性をいかすことが低予算にもつながり、なによりもっとも簡単に支援者間の連帯感をうみだせる方法でもあるのです。
さて、これまで「ネット×選挙」というラベルで家入かずまさんの都知事選挙で見えたネット×選挙の課題についても書いてきました。
そこで私が以前の記事で、役割分担をすることによって、より有効にインターネットを選挙にとりいれるために必要だと書いた人材と、今回の選挙での担当者をふりわけてみます。
・候補者
⇔清野和彦
・地盤に影響力のある人
⇔町内会、隣組、(地元中高生(?)
・公職選挙法の専門家
⇔梵さん、宮部さんやみどりの党の方々
・インターネット上のページをつくる人
⇔せんきょ.みんな
・メディア(広報)力のある人
⇔本人、(地元中高生
・ボランティア・有志の人々を振り分け方向性を示す人
⇔梵さん、清野さんのお母さん、まゆみさん
・候補者の近くにいてツイキャスなど情報拡散を担当する人
⇔平塚さん(せんきょ.みんな)
・有権者やボランティア、ネット上の声をひろい陣営の方針や行動にいかせる人
⇔平塚さん(せんきょ.みんな)、梵さん、立川さん、みどりの党の方々
こうしてみると、Tewitterなどで面白がって祭りにのってくれた、自発的に行動をおこしてくれた若者を巻き込めたのはこれからにつながる良い影響になっていると思います。
見事にうまっていますね。
都市型の選挙のように数を動因する、一気に情報を拡散するというような動きではなかったかもしれませんが、地方都市型のネット選挙ができていたのではないかと私は思います。
簡単にまとめますと・・・・
◆都市型ネット選挙=情報の拡散・動員(一人の動きを千人、万人規模へ)
◆地方都市ネット選挙=情報の確認・拡散・補強(一人の動きを一人の人へ確実に)
こんな風にとらえることができるのではないかと思います。
母数に対して、一票のしめる割合が格段に違う都市と地方では、ネットの利用に関しても目的が変わるということです。
◆地方都市ネット選挙=情報の確認・拡散・補強(一人の動きを一人の人へ確実に)
こんな風にとらえることができるのではないかと思います。
母数に対して、一票のしめる割合が格段に違う都市と地方では、ネットの利用に関しても目的が変わるということです。
今日もながながとお付き合いいただきありがとうございました!